Between



「ねぇロザリア。なんだか最近マルセル様とルヴァ様っておかしくない?」
「あなたも気がついていました?なんだかすごくよそよそしいですよね」
「でしょ?今度ルヴァ様かマルセル様かにそれとなく尋ねてみようかしら?」
「そうですわね。わたくしたちで力になれるかもしれませんものね。わたくしも協力いたしますわ」
二人の女王候補生はうなずきあった。

ある晴れた日の曜日。ルヴァは一人で木陰で読書をしていた。
「ルヴァ様こんにちは」
「おや。アンジェリーク。どうしたのですか?日の曜日にこんなところで」
「ルヴァ様を探していたんです。隣いいですか?」
アンジェリークの申し出にルヴァは本を閉じると少し横にずれ「どうぞ」と隣を促した。
アンジェリークはルヴァの隣に座るとしばらく黙っていた。
ルヴァはその沈黙に耐えれなかったのか、おもむろに口を開いた。
「アンジェリーク。私を探していたようですが何か御用ですか?ご存知のはずですが、今日は日の曜日。育成を行わない日ですよ」
「ええ。ルヴァさまに育成を頼んだりしようと思って探していたんじゃないんです」
「では。いったい?」
「それは―――」
アンジェリークはしばらくどう切り出そうかと考えた。
(ええいっ!いろいろ考えても仕方がない)
「ルヴァさま。単刀直入にお尋ねします」
身を乗り出し真剣な顔でルヴァに詰め寄るアンジェリークに、ルヴァは少したじろぎながら一つうなずいた。
「マルセル様と何かあったんですか?」
「い、いえ。何も」
いきなりの質問にルヴァはわたわたしながら答えた。
「何もないわけがないじゃないですか。聖殿でお二人を見かけても何かよそよそしいし、以前はよくルヴァ様の執務室でマルセル様にお会いしたのに最近はめっきりお見かけしなくなったし」
「本当に何もないんですっ!」
ルヴァは大きな声でまだいろいろといいたそうなアンジェリークの言葉をさえぎった。
まさかルヴァから怒鳴られると思ってもいなかったアンジェリークは目を丸くし、口を閉じた。
「怒鳴ったりしてすいません。でも――本当になんでもないんです。すいません。ほかに御用がなければ失礼してもいいでしょうか」
ルヴァは返事を待たずに立ち上がった。
「ルヴァ様。ちょっと待ってください」
アンジェリークも負けじと立ち上がると。
「何があったかは知りませんが、そんな怖い顔で仕事をされるようならしばらくはルヴァ様のところにお伺いできませんので」
それだけいうとルヴァが向いていたのと反対の方向に歩いていった。
ルヴァはそんなアンジェリークの後姿を見、そのままベンチへ座り込んでしまった。
「は〜い。ルヴァ。大人気ないじゃない」
どこかで二人のやり取りを見ていたオリヴィエがルヴァの前に現れた。
「オ、オリヴィエ。いったい…」
「ちょっ〜とそこの茂みでうとうとしてたらアンジェリークの声が聞こえてくるじゃない。ついつい聞き耳を立てちゃって。しっかしルヴァでも怒ることあるのね」
「あ、あれは〜。その〜」
じたばたと言い訳をしようとするルヴァの前でオリヴィエは腰に手を当て
「でもちょっと大人気ないわよ」
と真剣な顔で言った。
「アンジェリークじゃなくてもアンタとマルセルの様子がおかしいのぐらいとっくにばれてんだからね。何があったのか知らないけども執務に支障をきたすようじゃ。立派な大人とは言えないわね。今のあんたはゼフェルと同じ。いやそれ以上に子どもだよ」
「ええ。執務に支障をきたしているのはわかっているんです。でもマルセルに嫌われた理由がわからなくて、いろいろ考えているうちに一日が過ぎていくんです」
ルヴァはオリヴィエに訴えるように言葉を繋げた。
「マルセルの執務室に行っても冷たくあしらわれ、緑の館に行っても会ってももらえず。いったい何が悪かったのでしょうか」
「は〜。あんたって本当にその辺の事にはうといよね。仕方がないあたしが一肌脱いであげよう」
オリヴィエはそういうとルヴァの隣に座り、いつからマルセルとの関係がおかしくなったのか聞いた。
2月14日のやりとりを一通りルヴァから聞くと一言。
「そりゃ、あんたが悪いわ」
と言った。
「やはり私が悪いのですね。何がよくなかったのでしょうか」
「あんたさー。2月14日って何の日か知らないの?」
あきれ顔で尋ねるオリヴィエにルヴァは
「なんでも”好きな人にチョコレートをあげる日”なんですよね。マルセルから聞きましたけど」
「それを聞いててどうしてマルセルにゼフェルのことどう思う?って聞かれて好きですよって答えれるのさ」
「マルセルのことは本当に好きですよ。彼のことを考えるだけで仕事が手につかなくなるのですから。でもゼフェルのこともマルセルとは違う意味で好きです。それじゃ駄目なんですかねぇ?」
「私はいいと思うよ。でもマルセルはお子様なんだから。その辺がわからないのよ。自分の好きな人を独り占めしたい。独占したいって思っちゃうのよ」
「私はいったい何をしたらいいのですか?」
真剣なまなざしのルヴァにオリヴィエはひとつため息をつくと、
「3月14日にマルセルの好きなものをプレゼントしてあげたらいいと思うよ。私が言えるのはそれだけ」
「3月14日って何かあるのですか?」
「バレンタインデーのお返しを渡す日だよ。ま、がんばってね」
オリヴィエはそう言うと立ち上がり夢の館へと歩いていった。

To be continued





      ホワイトデーネタを考えていたら気がつけばホワイトデーまでの間の話が出来上がってしまった。
      Valentaine・Betweenと続きラストはWhiteday。
      しかしどう考えてもラストは見え見え。しかもかなり短くなりそうですね。
      とりあえずは今からWhitedayネタを考えて頑張ってアップします。
      しかしホワイトデーってネオロマライヴin大阪の前日。果たしてちゃんとアップできるかしら…。




BACK   Whitedayへ  HOME