HAPPY BIRTHDAY



「ゼフェル。今度の12日って何の日かわかってる?」
廊下でオリヴィエとばったりあったゼフェルは
「あ?12日だ?」
といい、暫く考えた。
「あー。あのおせっかいやろうの誕生日だろ」
「覚えていたね、えらいえらい」
「毎年うっとうしいんだよ、もういい年したおっさんがよ」
そう言うゼフェルにオリヴィエは
「今年はアンタがルヴァの誕生日パーティーのセッティングをするんだよ」
と言った。
「はー?誕生日パーティーのセッティングだ?何で俺が」
「なんでってアンタが一番お世話になっているからに決まってるでしょ」
当たり前のように言うオリヴィエにゼフェルは
「だからって人には向き不向きってのがあるだろうが」
と反論した。
「別にアンタ一人に考えろってんじゃないよ。アンタがメインで動けばいいんだからマルセルやランディに協力してもらったらいいでしょ」
オリヴィエはそこで言葉を切ると
「じゃ、そう言うことでよろしく〜」
と立ち去っていった。
「なんだよオリヴィエのやつ。言いたい事だけ言ってさっさと立ち去って。
しかしマジで俺がやらなきゃダメなのかよ。ったくめんどくせー」
ぶつぶつ文句を言いながらゼフェルの足は自然とマルセルの執務室に向っていた。
考え事をしながら歩いていたゼフェルはマルセルの執務室の前で立ち止まり「は〜」とため息をつくと、
「マルセル、邪魔するぜ」
と言いマルセルの執務室のドアを開けた。
マルセルの執務室には先約がいたようだった。
「やあ、ゼフェル。こんなとことで会うなんて奇遇だね」
「げっ。ランディやろう。なんでお前がここに…」
「何でって、もうすぐルヴァ様の誕生日だろ。何をプレゼントしたらいいか、マルセルと相談していたんだ。
ゼフェルこそどうしたんだい?」
「どうしたも何も、その相談。俺も混ぜろ!」
すごい剣幕で部屋に入ってくるゼフェルに
「まあまあ落ち着いて。でもどうしたの?いつものゼフェルならめんどくさがって何もやらないじゃない」
マルセルは椅子を勧めつつ、ゼフェルの前にミネラルウォーターのペットボトルを置いた。
「おっ、サンキューな。実はな…」
オリヴィエから託されたことを二人に告げるゼフェル。
「なるほど、で、どうしていいかわからなくてマルセルの所に来たんだ」
「うっせーな。オリヴィエだって聞いていいって言ったんだからいいだろうがよ
「だからって少しは自分で考えるとか出来なかったのか」
「まあまあ、二人とも今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。あんまり日がないんだから」
マルセルはそう言うと執務机から紙とペンを持ってくると、
「で、どこでやる?パーティーって事は広い場所がいると思うんだ」
「場所か〜。誰かの私邸でってわけにもいかないし、どこか聖殿内で場所があればいいんだけど…」
ランディがそう言うと、腕を組んで考えていたゼフェルが
「そうだ」
と声を上げた。
「いい案、思いついたぜ。二人とも耳を貸せ」

「それっていいかもしれないけど、大丈夫かな?」
話を聞いたマルセルはそう言い、
「ランディはどう思う?」
と聞いた。
「俺も案としてはいいと思うけど許可が降りるかな?」
「そんなん聞いてみなきゃわからねぇじゃないか。善は急げって言うし、ちょっと俺聞いてくる」
そう言い、ゼフェルはマルセルの執務室を後にした。
あとに残された二人は顔を見合わせ一つため息をついた。

マルセルの執務室をあとにしたゼフェルはその足でディアのところへ行った。
「無理を承知で頼みたいんだが」
ゼフェルはそう前おいてディアに謁見の間の貸出を申し出た。
「謁見の間ですか?陛下に確認してきますのでここで待っててください」
ディアはそう言い、席をはずした。
暫くするとディアは戻ってきた。
「ゼフェル」
ディアに名前を呼ばれかしこまるゼフェルに
「陛下のお許しがでました。ただし、後片付け等はきちんとするように」
と念を押し、
「ではルヴァに素敵なパーティーを過ごしてもらいなさい」
と言葉を続けた。
「あー、わかったぜ。本当にありがとな。陛下にもありがとうって伝えておいてくれ、じゃ、俺は準備があるから」
ゼフェルはそう言うとマルセルの執務室に戻り、マルセルとランディに謁見の間が使えることを報告に行った。



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