12日――誕生日当日――

「なぜゼフェルに謁見の間に呼ばれるんでしょうか?」
ルヴァはきれいに作られたマルセルお手製の招待状を手に謁見の間に向った。
ルヴァが謁見の間のドアを開けると同時に
"パンパン"とクラッカーの音。
ゼフェル手作りのクラッカーは筒の中から『ルヴァ、誕生日おめでとう』という文字の書かれた紙がでてきた。
きょとんとするルヴァに
「こらおっさん。いつまでそんなところに突っ立ってんだ?さっさと入ってこいよ」
ゼフェルがそう声をかけると聞いていたジュリアスが言葉使いを注意しようと口を開きかけた。
「ジュリアス様。今日は大目に見てやってください」
とオスカーがフォローを入れる。
ルヴァは他の守護聖に迎えられるように謁見の間に入っていった。
部屋の中は普段とは全然違い、真ん中に大きなテーブル。部屋の隅には即席調理台が出来ていた。
テーブルの上には空の食器類が置いてある。
「これはいったい?」
ようやく思っていたことを口に出来たルヴァに
「今日はあんたの誕生日じゃない。今年はゼフェルがセッティングしてくれたんだよ〜」
とオリヴィエが言う。ゼフェルは
(セッティングさせたんだろうが)と心の中で毒つきながら
「せっかくだし、皆でパーっとやろうと思ってな」
と言った。するとその言葉を待っていたのか次々と料理人が真ん中のテーブルに料理を運び出した。
「ルヴァ。誕生日おめでとう。いつも迷惑ばかりかけてるけど、これからもよろしくな」
ゼフェルがルヴァに祝いの言葉を告げ、他の守護聖に
「今回は立食式にしているので皆好きなもんを好きなだけ食ってくれ。
俺とマルセルとランディのところの料理人の料理だから味は保障するぜ」
と告げた。

各自それぞれ好きなものを食べ、ルヴァの元へ祝いの言葉を述べに行く、
ルヴァはそれをくすぐったく思いながらもうれしく聞いていると、
突然部屋のドアが開いた。
「皆様方楽しそうですわね。こんな楽しそうなことにわたくしたちを呼んでくださらないなんてひどいじゃありませんか」
そう言い部屋に入ってきたのはロザリアとアンジェリーク。
「そう思いませんこと?アンジェリーク」
ロザリアは後ろを歩くアンジェリークに同意を求める。
「え?ええ」
どうみても連れてこられた感じのアンジェリークはあいまいな相槌を打つ。
「言われてみればお譲ちゃんたちがいないと華がないな」
「そうでしょ。オスカー様。と言うことで混ぜていただきますわよ」
今日の主役のルヴァやセッティングをしたゼフェルの意見はお構いなしに二人はパーティーに加わった。
アンジェリークはルヴァのところへ行くと、
「あの。ルヴァ様。お誕生日おめでとうございます。急に押しかけてすいません」
そう言うと手にしていた袋をルヴァに差し出した。
「あの、これ。ロザリアと作ったんです。良かったら使ってください」
ルヴァは袋を受け取ると「ロザリア」とロザリアを呼び、二人の前で「開けさせてもらいますね」
と断って袋の口を開けた。
中からでてきたのは布で作られたブックカバーだった。
「ありがとう。とてもうれしいですよ。このパーティーにも来て頂けてうれしいんです。
お料理もおいしいですので楽しんでいってくださいね」
と声をかけた。
ルヴァは皆と話をし、プレゼントをもらい素敵な時間を過ごした。
「おっ。やべぇ」
時計をみたゼフェルはそうつぶやくと
「皆で楽しんでいるところ悪いけど、そろそろお開きにしたいんだ」
そう言うとルヴァの横に行き、
「最後にルヴァ。なんか話せよ」
と言った。
「何かと言われましてもねぇ」
と言いながらも少し考え、コホンと一つ咳払いをすると、
「今日は本当にありがとうございます。素敵な誕生日が迎えられました。
これからもどうぞよろしくお願いしますね」
とお礼の言葉を述べ、今まで誰も見たことのない笑顔を見せた。


            Fin


    久しぶりに守護聖でのパーティーネタになりました。
    しゃべってもいない守護聖がいるにもかかわらず
    人数が多いからかすごく長いものになってしまいました。
    そして終わり方がわからなくて例のごとく中途半端…。
    感想などいただけると次の励みになるのでよろしくおねがいします。




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