地の館に着いたルヴァはマルセルと行った惑星調査の報告をまとめるため、机に向かった。
調査結果は良好。特に問題はなかった。
(ただ、なんだか女性の方に落ち着きがなかったような気がしますね〜)
ルヴァは報告書をまとめると時計を見た。
時計の針は深夜0時を過ぎ、ひとつ欠伸をすると机の上においてある書類を一箇所にまとめ、席を立った。
そのまま隣にある書庫へ向かい、読み物を探す。
ルヴァは夜必ず布団に本を持って入る。どうやら本を読まないと寝付けないらしい。
うろうろと読み物ばかりの入っている書棚の前を行ったりきたりし、一冊の本を手にとった。
ぱらぱらと中を確認すると、ひとつうなずきその本を片手に寝室へ向かうことにした。
寝室に行くには玄関ホールを横切る形になる。
ルヴァがちょうど玄関ホールを横切ろうとしたとき、なぜか外からドアをたたく音がした。
ルヴァは首をかしげるとドアの前まで行き、「どなかたいるのですか?」
と小さな声で尋ねた。
すると外から
「ルヴァ様。ぼくです」
というマルセルらしき声がしてきた。ルヴァはこんな時間に何事かと思い、ドアを開ける。
するとそこには予想通りマルセルが小さな袋を持って立っていた。
「マルセルこんな時間にどうしたのですか?」
そう尋ねるルヴァにマルセルはにこりと笑い
「どうしても日付が変わる瞬間にこれを渡そうと思ったのですが…。ちょっと遅れましたね」
と袋をルヴァに手渡した。
「これを、私に?」
いったい何事かと思いルヴァは袋とマルセルの顔を交互に見た。
「ルヴァ様。今日行った惑星なんだか女の人がそわそわしていたと思いませんか?」
「ええ。そう言えばそうでしたね。ちょっと私も気にはなっていたんです」
ルヴァはそう言い、マルセルが寒そうに震えてることに気が付いた。
「寒そうですね中へどうぞ。暖かい飲み物くらいはご馳走しますよ」
「ありがとうございます」
マルセルはうれしそうにルヴァの後ろをついて行った。
通された部屋はさっきまでルヴァが仕事をしていた部屋だった。
小さな仕事机とサイドテーブル。そして小さな本棚の置いてある部屋だった。
マルセルは初めて通された部屋をものめずらしげに眺める。
「ちょっとまっててくださいね」
ルヴァはそう言うと、隣へ続くドアの向こうに消えた。
しばらくするとその部屋から湯気のたったティーポットとカップを二つお盆に乗せ戻ってきた。
「この部屋がめずらしいですか?」
きょろきょろするマルセルにルヴァは聞いてみた。
「めずらしいというか、いつもの部屋と大分雰囲気が違って」
「そう言えばマルセルはこの部屋、初めてなんですね〜」
「はい。なんだかすごくゆったりできる部屋ですね」
「実はこの館の中で唯一私の好きにさせてもらっている部屋なんです」
マルセルはどういうことかと首をかしげる。
「えっとですね。あの仕事机で仕事をし、疲れたときはこのサイドテーブルで本を読みながらお茶を飲む。休日は大体この部屋にいるんですよ」
しばらく二人はゆったりとした気分でお茶を飲んだ。
何杯目かのおかわりをし、マルセルは話をはじめた。
「今日行った惑星でね、僕女の人に聞いてみたんです。どうしてそんなにそわそわしてるの?って」
「ええ」
「そしたらね。明日。えっと今日になりますね。好きな人にチョコレートをあげる日なんだって教えてくれたんです」
「チョコレート。ですか?」
「はい。ちょっと頂いたのですが、すごくおいしかったので、僕ルヴァ様にと思って買ってきたんです」
「私にですか?」
「はい。だって僕ルヴァ様のこと大好きなんだもん」
ルヴァは一瞬目をまるくし、マルセルの顔を見ると微笑む。
「ありがとうございます。私もあなたの事好きですよ」
「じゃあ、ゼフェルのことどう思う?」
「もちろんゼフェルのことも好きですよ」
そう答えるルヴァの言葉を聞き、マルセルは少しむくれた。
急に黙り込むマルセルにルヴァは
「どうしたんですか?何か悪い事いいましたか?」
と言いながらおろおろとする。
「別になんでもないです」
「え?でも何か怒っていませんか?」
「そんなことないです。ルヴァ様ご馳走様でした。僕そろそろ失礼します」
怒ったままマルセルは席を立つと。
「ちょっとまってください」というルヴァの制止も聞かず、そのまま地の館を後にした。
ルヴァは何が悪かったのか結局わからないまま床につくことになった。
それからしばらくマルセルとルヴァは聖殿であっても挨拶しかできない状態が続くのだった。
To be continued
今回中途半端なところで終わってしまいました。
時間がなかったのと、ホワイトデーにつなげようかと思ったのとで
今回はここまでにしました。
しかし思いっきり続きの読めるストーリーですね(^^;)
よろしければホワイトデーもよろしくお願いいたしますね。