St. Valentine's Day


「出来ました。執務を休んで作ったかいがありました」
 リュミエールは手作りチョコを片手に満足そうな顔をする。
「後はルヴァ様が気に入ってくれるといいのですが…」

 執務の終わったルヴァは私邸でのんびり読書をしていた。
 コンコン
 遠慮がちに鳴ったドアのノック。ルヴァは本を閉じるとドアを開けた。
「おやリュミエール。今日は全然顔を見なかったので体調でも悪くて私邸で寝ていたのかと思っていましたよ」
「そ、そんな。ご心配をおかけしました」
 リュミエールは深々と頭を下げる。
「い、いえ。そんな」
 ルヴァは逆に恐縮すると、
「で、どうしたのですか?」
 と言葉を続けた。
「実はルヴァ様に受け取っていただきたいのもがあるのです」
 そう言うとリュミエールはきれいにラッピングされた箱をルヴァに手渡した。
 ルヴァはその場でラッピングをほどき、箱を開けた。
 中から出てきたのはいろいろとデコレーションされた一口サイズのチョコレート。
「これは?」
「ルヴァ様のお口あうといいのですが…」
「え?もしかして?」
「はい。私が作りました。といっても溶かして固めただけですけどね」
「ありがとうリュミエール。うれしいですよ」
 ルヴァはニッコリと笑いかける。
「そんなに喜んでもらえて私も嬉しく思います」
「ところで、今日はいったい何の日なのですか?ロザリアにもマルセルにもチョコレートを頂いたのですよ」
「え?ルヴァ様意味を知らないのですか?」
「はぁ。何か意味があるのですか?」
 ルヴァは本当にわからないのかただ首を傾げる。
「じゃぁ、今受け取ってくれたのも、他の人から受け取ったのと同じ意味なのですね」
 リュミエールはそう言うと脱兎のごとくルヴァの前から走り去った。

「ルヴァ様。はいこれ。さしあげます。ルヴァ様?どうかなさったのですか?」
 問いかけに答えないルヴァを変に思い。アンジェリークは顔を覗き込んだ。
「―― ルヴァ・様」
「あっ。アンジェリークどうしたのですか?」
「ルヴァ様こそどうされたのですか?何か元気がないようですけど」
「何でもないですよ。心配をかけましたね」
 ルヴァはいつもと変わらないと、首を振る。
「で、どうしたのですか?」
 アンジェリークは当初の用事を思い出し、ルヴァ様にチョコレートの包みを渡す。
「今日はバレンタインデーですからね。チョコレートさしあげます」
 そう言って立ち去ろうとするアンジェリークをルヴァは呼びとめ、バレンタインデーとは何なのか聞いた。
「え?ルヴァ様バレンタインを知らないのですか?」
「はぁ、意味がわからなくて…。リュミエールがくれたのですけどね、怒ってしまったようで…」
「今日は、好きな男性に勇気を出してチョコレートを渡す日なんです。ちなみにそのお返しは来月に来るホワイトデーでするのです」
「好きな男性にって―― リュミエールも男性じゃないですか」
「だから私たち女性よりも勇気がいったはずですっ」
「ありがとうアンジェリーク。リュミエールを探してきます」
 ルヴァはそう言うと聖地の中を走り回った。途中木の根に足を取られころんでしまったりで、服はボロボロ。それでもお構いなしに走り続けた。
 どれぐらい走っただろうか。ルヴァの目に前を歩くリュミエールが見えた。
「リュミエールっ」
 ルヴァは呼んだものの、リュミエールはルヴァの声を聞き走り出してしまった。
「リュミエール待ってください。そのままでいいので聞いてください」
 ルヴァの必死の声にリュミエールは立ち止まった。
「ありがとうございます」
 ルヴァは立ち止まってくれた事にお礼を言い、言葉を続けた。
「アンジェリークに今日が何の日なのか聞きました。私が勉強不足だったため貴方に嫌な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。チョコレートもらえて本当に嬉しかった。あなたも私と同じ気持ちでいてくれて本当によかった」
 ルヴァのその言葉にリュミエールは振り返った。
ルヴァとリュミエールの目が絡み合う。
「私も貴方のことが大好きですよ」
 衣服をボロボロにしたままルヴァは今まで見せた事のないぐらい素敵な笑顔を見せた。






なんだか書かなきゃと思ってからかなりの日数があったにもかかわらず、
やっぱり出来はこんなのになってしまった。
今回コレを書くのに悩んだのが、ルヴァさま受けの場合。 チョコレートはもらうのかあげるのか。
結局出来上がったらもらっていました。しかもなぜかリュミエール(笑)
なんか私の書く小説ってどっちが受けでどっちが攻めでってないですよね。
なんだか最近書けば書くほど自分の文章力のなさにショックを受けています。
こんな文しか書けないのにここまで読んでくださってありがとうございました。
よろしければまた次回も読んで頂けるとうれしいです。
(いったい次回はいつになるか…)




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