PICNIC
お天気の良いある春の日。マルセルは上機嫌でルヴァの執務室へ向かった。
コンコン
「ルヴァ様失礼します」
マルセルはノックだけすると、返事を待たずにドアを開けた。
部屋の中は太陽の光がサンサンと入っており、とても明るかった。
窓の側に置いてある執務机には読書をしていたのか、広げた本の上に顔をうずめているルヴァがいた。
「もうルヴァ様ったら、今日伺うって言っていたのにっ」
マルセルは頬を膨らませるとルヴァの耳元で「ルヴァ様。起きてください」とささやいた。
うっすらと目を開けるルヴァの視界にマルセルが映った。
「あっ。マルセルすいません。ついつい気持ちよくって眠ってしまいました。そちらのテーブルに移りましょうか」
ルヴァは本に栞を挟むとお茶を入れに立ち上がった。
暫くするとマグカップと湯のみとクッキー、おせんべいを持ってマルセルの前に座った。
「どうぞ、マルセル」
そう言い、マルセルの前にココアとクッキーを自分の前に湯のみとせんべいを置いた。
暫くお茶を飲み楽しい時間を過ごすと、マルセルが口を開いた。
「ねぇ、ルヴァ様」
「なんですか?」
「あのね。春になってたくさん花が咲いているし二人でピクニックに行きたいなーと思って…」
「ピクニックですか?」
「はい。おやつをたくさん持って行きましょうよ。ダメですか?」
「いいえ、いいですよ」
「本当ですか?僕うれしいなー。いつ行きますか?」
嬉しそうに喜ぶマルセルにつられてルヴァも微笑むと、
「いつがいいですかね〜」
と言った。
――ピクニック当日――
青空広がるピクニック日和り。マルセルは抹茶味の手作りクッキーとハーブティーを持ちルヴァの私邸へ向かった。
「ルヴァ様、早く早く」
マルセルはルヴァの腕を引っ張ると、私邸を後にした。
お昼過ぎにルヴァの私邸を出て、二人で楽しく話をしながら歩いていると、目的地である聖地を一望できる丘に着いたら丁度お茶の時間になった。
「今日はルヴァ様の大好きな抹茶味のクッキーを作ってきたんです。それとクッキーにお茶は合わないかなと思って、抹茶クッキーに合うハーブティーをリュミエール様に貰ってきたのですよ」
そういうと、マルセルは魔法瓶を軽く持ち上げた。
「あ〜マルセル。ありがとうございます。あなたの心遣いが嬉しいですよ。私はですね〜。ココアクッキーと普通のクッキー。そしてアイスココアです」
そう言うとルヴァは鞄の中から水筒と紙袋を取り出した。
「僕の好きなものばかりだー。ルヴァ様ありがとうございます」
二人は木陰にレジャーシートを広げると、お茶を飲みつつ楽しく話をしていた。
「ねぇ、ルヴァ様?」
どれくらい話をしていたのか。マルセルは遠くを見ながら尋ねた。
「何ですか?マルセル」
ルヴァはマルセルの方を向き、首を傾げる。
「僕のこと、どう思っていますか?」
あいかわらず視線は遠くを見つめたまま言葉を続けた。
「どう。ですか?う〜ん」
ルヴァもマルセルと同じように遠くを見つめたまま考える。
「僕はルヴァ様のことが好きなんです」
「え!?」
ルヴァはびっくりしてマルセルの方を向いた。その瞬間ルヴァの唇はマルセルの唇にふさがれた。
一瞬何が起こったのかわからない状態。
どれぐらい唇をふさがれていたのか、時間的にはほんの一瞬だったのかもしれない。
でもルヴァにはすごく長く感じられた。久しぶりに味わった自分の胸の鼓動。
自分のマルセルに対する気持ちがはっきりした。
「今、気がつきました」
ようやく離れたマルセルの唇にルヴァは軽くキスをすると、
「私もあなたの事が好きだったようです」
びっくり顔のマルセルにルヴァは微笑みながら呟いた。
FIN
今回のお相手はマルセル君にしました。
今回この話を書いていて困ったのが、ほのぼのあまあまにするのが難しかった事。
マルセル君が鬼畜なのでしょうか?なかなかあまあまにならなくて、
このままではもしかしなくても裏かっ!と言う状態になっていました(笑)
そのためかなかり無理のあるあまあまでした。
どれだけの人に鬼畜なマルセルを何とかしてくれと頼んだ事か(^^;)
すこしでも皆さんに楽しんで頂けたなら幸いです。
感想などメール又はBBSにカキコしてくれるとうれしいです。
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