WHITE DAY

「で、あるからして。――ルヴァ。聞いているか」
会議中だというのに考え事をしていたルヴァは。ジュリアスに声を掛けられた。
「え?あ、すいません。ジュリアス」
「まぁ、よい。今日はこの辺りにしておこう」
 ジュリアスがそう言うと会議は終わった。
「ルヴァ」
 謁見の間を出ようとしたルヴァをオスカーは呼び止めた。
「どうかしましたか?」
 呼び止められたルヴァは、なぜ声を掛けられたのかわからないまま、立ち止まった。
そんな二人を残して会議に出ていた他の守護聖は謁見の間を出て行った。
「どうかしたのは、ルヴァの方じゃないか?」
「そうですか?私は特に何も変わりありませんが」
 ルヴァは何のことかわからず首を傾げた。
「そうか?先月の14日からなんだか様子がおかしいと思うのだが」
 オスカーはルヴァの応えを聞かずに話を続けた。
「俺がルヴァの悩みを当ててやろうか?いきなり現れた贈り物の意味がわからず、悩んでいる。違うか?」
「え?――なぜそれが…」
 ルヴァはごまかすことも出来ずうろたえた。
「なぜかって、まぁ、いいじゃないか。で、一つルヴァにいいことを教えてあげようと思って。
もし、ルヴァがあの贈り物と一緒に届けられたランディの気持ちを受け取るのであれば、今月の14日。
ランディと同じようにルヴァの気持ちを乗せて贈り物をしてやったらいい。
なんせ、バレンタインのお返しはホワイトデーらしいからな」
「バレンタイン?ホワイトデー?」
 首を傾げるルヴァを横目にオスカーは謁見の間を後にした。
 残されたルヴァは暫く呆然とし、バレンタインとホワイトデーを調べるために謁見の間を後にした。

 ルヴァは執務へ戻るとそのまま自分の部屋の書庫へと行き、オスカーのいっていたバレンタインデーとホワイトデーの意味を調べだした。
辞書を引いてもいまいちよくわからず、何冊か調べ続け、ようやく惑星の風習の乗っている本にそれらしい内容が載っていた。
その本によると、バレンタインデーには好きな人に愛の告白をし、プレゼントも渡す。
というもの、そして、そのお返しにホワイトデーにプレゼントを返すらしい。
ただ、バレンタインはお世話になっているひとや友だちに渡したりする、義理チョコや友チョコなるものもあるとなっていた。
ルヴァはチョコレートについてたメッセージカードの事を思い出し、ランディが自分に対して好意を持ってくれているという事を知った。
ルヴァは早速下界に下りる手続きをふむとホワイトデーでランディに渡すものを買いに向かった。
下界に下りたルヴァはおやつと手元に残るものとを一つずつ購入し、きれいにラピングするとメッセージカードをつけた。
(あとはランディがいつ視察から戻ってくるかですね)
ルヴァはそうつぶやくとひとまず机の引き出しにしまった。


3月15日
昨日ランディが聖地に戻ってきたと、噂では聞いたものの、実際ルヴァはランディに会えなかった。
(一日遅れてしまいましたが、仕方がありませんね)
悩んだルヴァは自分の執務もあるからということで、ランディの執務室の前にプレゼントを置き、自分の執務にかかった。

お昼過ぎ。ルヴァの執務室のドアが激しく叩かれた。
「はい」
ルヴァが返事するが早いかドアが開けられ、荒い息をするランディが現れた。
「ど、どうしたのですか?」
ルヴァは立ち上がるとランディの元へ行き、応接セットへと誘い、飲み物を差し出した。
ランディはのどを潤すと、深呼吸をし、前に座るルヴァの手を握った。
「えっ」
いきなりの事でどうしたら良いのか分からないルヴァは動けずにそのままランディに手を握られていた。
「ルヴァさま」
「は、はい」
ランディは息を整えると、
「執務室の前にあったプレゼントありがとうございます。そして、確認したい事があったので押し掛けてしまいました。
あのメッセージカードに書いてある事は本当ですか?」
ランディの問いかけにルヴァは、顔を紅く染め、
「ええ。そうです。あのカードに書いているのはまぎれもなく私の気持ちです」
と答えた。次の瞬間ルヴァはランディに抱きしめられていた。
「うれしいです。ルヴァさまも俺と同じ気持ちでいてくれたという事が」
ランディはルヴァから身体を離すとどちらからともなく口づけを交わした。

FIn



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一日遅れのホワイトデーです。
東日本では大変な事が起こっているのに、のんきにこんな話を書いて申し訳ないと思いながらもアップさせていただきました。

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