HAPPY BIRTHDAY

「もうすぐルヴァさまの誕生日だわ」
 アンジェリークの視線の先にあるカレンダーの12日には赤で丸印がつけられていた。
アンジェリークにとって今年は今までと違ったルヴァの誕生日。
他の守護聖様と接する時はあくまでも女王候補と守護聖なのだが、ルヴァと接する時だけ何かが違う気持ちが芽生える。
 この気持ちが恋だと気づいたのはついこの間。この気持ちに気づいてしまったら今までと違う誕生日をルヴァに迎えて欲しいと思った。
「プレゼントを渡すだけだと今までと変わらないし…。どうすればルヴァさまが喜んでくれるかしら?―――そうだわ」
 アンジェリークは『ああでもないこうでもない』と色々考え、ふと前にオリヴィエとオスカーが話をしていたことを思い出した。
その時、二人は女性に何をしてもらったらうれしいかと話をしていた。
結局二人の意見はまとまらなかった気がするけども、アンジェリークはその時の案をもらうことにした。
アンジェリークはこの時間ならルヴァは公園にいるだろうと思い、公園へ向かった。
公園のベンチではアンジェリークの予想通りルヴァは本を開いていた。
「こんにちは。ルヴァさま」
アンジェリークはルヴァに声をかけた。
「こんにちはアンジェリーク。お散歩ですか?」
「散歩と言うか、ルヴァさまを探していたんです」
 アンジェリークはそう答えるとルヴァに12日空いているか尋ねた。
 ルヴァは12日が何の日かわからず、特に用事のないことを伝えた。
「じゃ、ルヴァさま。12日は空けておいてくださいね」
 アンジェリークはそう言うと公園を後にした。
 ルヴァは何のことか分からないまま、視線を本に戻した。

12日。
 アンジェリークはお弁当を片手に朝からルヴァの私邸を訪ねた。
ルヴァは急いで用意を済ますとアンジェリークと共に出かけた。
アンジェリークは丘へルヴァを連れて行き、レジャーシートを広げた。
「これは?」
「今日はルヴァさまに私の手料理を食べて欲しくてお弁当を作ってきました」
アンジェリークはそう言うとルヴァに取り皿を渡した。
お弁当箱の中にはいろいろなサンドウィッチが入っていた。
卵・ハム・レタスやキュウリ。そしてトマトと色鮮やかだった。
「手料理と言ってもサンドウィッチですが、心はこもってます」
真剣に言うアンジェリークを見、
「ありがとうございます。いただきます」
と言い、ルヴァはサンドウィッチに手を伸ばし口に運んだ。
具の量もちょうど良く、とてもおいしかった。
「アンジェリーク。おいしいです」
アンジェリークはその言葉を聞き、安心したのか自分自身もサンドウィッチを食べはじめた。

「おなかがいっぱいになりました。このまま少し休憩しても良いでしょか?」
 ルヴァはそう言うと小さく欠伸をした。
「あ、すいません。ついつい本の続きが気になって、昨日寝るのが遅くなってしまって…」
申し訳なさそうに言うルヴァにアンジェリークは
「―――あの、ルヴァさま。もし…もし良かったらでいいのですけど……」
 アンジェリークは下を向き、そこまで言うと、一度言葉をくぎり、
「私の膝枕で一眠りされませんか?」
 と言葉を続けた。小さい声で言う、アンジェリークの言葉は普段なら聞こえないところだが、ルヴァの耳にはすっと入ってきた。
「えっ?え――!あ、あの。ほ、本当にそ、そんな……」
 動揺するルヴァはアンジェリークの両肩に手を置くと、
「本当に良いんですか?」
 と再度確認した。アンジェリークは顔を赤らめながらこくりと頷いた。
「で、では。失礼して…」
 ルヴァはそう言うとアンジェリークの膝枕で横になった。
「なんだか、緊張して眠気はどこかに行ってしまいましたが、しばらくこのままでいても良いでしょうか?」
 ルヴァがアンジェリークの顔を見上げてそう問うと
「はい。もちろんです」
 とアンジェリークは答えた。そして、そのまま顔をルヴァの方に近づけると口づけをした。
 ビックリして飛び起きたルヴァに
「急にごめんなさい。我慢できませんでした」
 と謝ると。
「ルヴァさま。お誕生日おめでとうございます」
 と言葉を続けた。それで今日が何の日なのか気付いたルヴァは、向き合うアンジェリークにルヴァから口づけをし、
「ありがとうございます。とても素敵な誕生日を向かえることができました」
 ルヴァがそう礼を述べると、どちらからともなく顔を近づけ、長い口づけを交わした。

    F I N

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   今年は友達からのリクエストもあり、かなり甘甘にしてみました。
   そしてアンジェがオスオス(笑)
   少しでも楽しんでもらえたらうれしいです。