St. Valentine’s Day

「もう、こんな日でしたか」
そうつぶやくリュミエールが目を向けた執務室の壁には14日に赤丸がつけられているカレンダーがぶら下がっていた。

次の日リュミエールは聖殿に着くと、執務室へは向かわず、そのまま下界へ降りるための手続きを行うために陛下の元へと向かった。
「急いで降りる必要があるのですか?」
 そう問うディアに
「急ぎなのです」
とリュミエールは応え、下界へと降りる手続きを済ませ、すぐに下界へと向かった。
下界へ降り立ったリュミエールは前回執務のために降り立ったときに見つけておいた製菓材料の売っているお店・文房具売り場へと行き、それぞれお目当てのものを購入した。

買うものを買うと、リュミエールは聖地へと戻り、一度執務室へ向かうと、急ぎの執務を済ませた。いつもの倍以上の速さで執務をこなすと、買ってきたものを持ち、私邸へと帰った。

私邸に帰るとそのままキッチンへと向かい、袋の中から買ってきたものを取り出した。
袋から出来てきたのは、製菓用のチョコレート・生クリーム・チョコレート型・ラッピング用小物。
「これだけあれば作れるでしょう」
リュミエールはそうつぶやくと手作りチョコレートを作り出した。
溶かして固めるだけだから簡単だろうと思っていたチョコレート作りは意外と難しく、
湯銭でチョコレートを溶かしている今もチョコレートの入っているボウルにお湯が入りそうになっている。
「溶かして固めるだけなのにどうしてこうもうまくいかないのでしょう?」
しばらくキッチンでリュミエールはチョコレートと格闘すると、ようやく手作りのチョコレートが出来上がった。
「これで何とかなるでしょう」
出来上がったチョコレートをきれいにラッピングするとリュミエールは「ほっ」と一息ついた。

14日。日の曜日。
リュミエールのお茶会に呼ばれたルヴァはリュミエールの私邸へと向かった。
私邸に着いたルヴァは、リュミエールの私邸の庭で楽しくお茶を飲みながら一日を過ごした。
気がつけば日もだいぶ傾き、ルヴァが帰る時間になった。
リュミエールは帰りかけたルヴァに
「あの、ルヴァ様」
と声をかけ、足を止めるとチョコレートの入った包みを渡した。
「これは?」
「あの、プレゼントです」
「ありがとうございます」
ルヴァはそう言うとその場で包みを開けかけた。
「ルヴァ様。それは家に帰られてから開けてください」
リュミエールにそう言われ、ルヴァは包みを開けかけている手を止めると
「では、おいとましますね」
と言って帰っていった。
ルヴァはなぜリュミエールがプレゼントをくれたのか分からないまま私邸へと帰っていった。
私邸へと帰り着いたルヴァはリュミエールにもらった包みを開けてみた。
包みの中にはいくつかのチョコレートとメッセージカード。
メッセージカードには『St. Valentine’s Day』と一言だけ書いてあった。
「どういう意味なのでしょう?」
ルヴァは書庫で意味を調べ自分の想いが一方通行じゃなかったことを知り、ホワイトデーに向けていろいろと考えることになった…。

  To be continued…


  いつも以上に短いバレンタイン編です。
  毎年ながらホワイトデーに続きますのでよろしければ一月後、
  そちらも読んでくださいね。