Valentine's Day


「やべー。この調子だと14日まわっちまうぜ。折角アンジェに教えてもらったのによー」
ゼフェルは視察先の惑星でぼやいた。
この惑星で、鋼のサクリアの乱れがあると連絡をうけ、調査の為に惑星に来た。
当初の予定では12日には用事が終わり、13日には聖地に着くはずだった。
が、バレンタインの為か人の出入りが激しくサクリアの調査が全く進んでいなかった。
「とりあえずあいつにも買うだけ買って、どうやって渡すかはまた考えるとするか」
そう言うとゼフェルはチョコレート売り場へと向うことにした。

「すっげー。こんなにこの町に人がいたんだ」
チョコレート売り場はすごい人の山が出来ていた。
今年は逆チョコなるものもはやっているらしく、例年なら女性しか群がることの無い
この時期のチョコレート売り場に男性もたくさんいた。
「ヤローがいるほうが俺も買いやすくていいけどなんか変な光景だなー」
ゼフェルはぶつぶつ言いながらもチョコレート選びを始めた。

売り場にはいろいろなチョコレートが並んでいた。
シンプルなチョコレートから中にナッツが入っているもの、ブランデーが入っているもの。
形も四角いのや丸いのや、工具の形をしたものまである。
「すっげー。このスパナのチョコレートほしー」
ゼフェルは当初の目的を忘れ自分好みの形のものを見ていた。
「おっとやべー。俺のじゃなくてあいつの好みのものを探さないとな」
そういい、店の中を回っていると
『お好みの形のものをつくります』という張り紙を見つけた。
「お好みの形かー。これでやっぱりあの形にしてもらうか」
ゼフェルは店主に注文をした。
暫く待つと
「こんな感じでよろしいでしょうか?」
と店主は出来上がったチョコレートを見せてくれた。
そのチョコレートは湯飲みの形。
ゼフェルはそのチョコレートをラッピングしてもらった。

チョコレートも買ったと事だしとサクリアの調査を進めるが、
ゼフェルの思いとは裏腹にデータが全く揃わない。
いよいよ明日がバレンタインデーになってしまった。
「どう考えても今日中にデータが揃うとは思えねーな。折角のチョコレートどうするか」
ゼフェルはテーブルの上におかれているチョコレートを見、一つため息をついた。
結局その日のうちにデータが揃うことなく夜を向えた。
「今日が金の曜日ってことは明日は土の曜日だよな。ってことは執務はなしっと」
ゼフェルは何も書かずに置いてあったカードにメッセージを綴り、チョコレートを持つと宿を後にした。
向ったのは星の小道。ゼフェルは夜の間に一度聖地に戻るとルヴァの私邸に向かい、
メッセージカードとチョコレートが入った紙袋をドアの前に置いた。
「明日の朝には気づくだろうし、このまま仕事に戻るとすっか」
ゼフェルはつぶやくと視察先の惑星へと戻っていった。

次の日の朝
ルヴァは家のドアを開け、足元に置いてある紙袋に気がついた。
それを拾い上げると家に持って入り、中身を覗いた。
紙袋の中には一枚のメッセージカードと四角い包み。
カードの広げるとそこには
『わりー。ホントはちゃんと手渡して伝えたかったんだ、でもなかなか仕事が進まなくて。
って俺がサボってんじゃねーからな。そこんとこ間違えるなよ。
たぶんこのプレゼントの意味がなんだかわからないと思う。
――けど、俺の気持ちだけ伝えとく。  ゼフェル 』
と書かれていた。
四角い包みを開けると中から透明の箱に入った湯飲み型のチョコレートが出てきた。

ルヴァはゼフェルが書いているように、このプレゼントの意味はわからなかったが、
このチョコレートは次の執務の時に聖殿にある仕事部屋に飾ろうと思った。


   to be continued......



バレンタインです。
なんだか今回ゼフェルの一人芝居って感じになってしまった…。
こんなのになる予定じゃなかったのですが、書き出したらとまらなくなってしまって(爆)
ホワイトデーにはゼフェルは聖地に戻ってきているし、
ホワイトデーではあまあまになったらいいな〜と思っています。
読みました〜だけでも良いです。
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