christmas


「ルヴァさまこんにちは」
「こんにちはマルセル。今日もいい天気ですね〜」
公園のベンチで本を読むルヴァは空を見上げて声をかけた。
「あの〜ルヴァさま」
「はい?」
「明日って空いていますか?」
「明日、ですか?」
ルヴァは暫く宙を見、
「そうですね。何も無かったと思いますよ」
と答えた。
「じゃ僕の為にそのまま予定をいれないでもらえますか?ルヴァさまと一緒に行きたい所があるんです」
「はい。わかりましたよ。明日はマルセルの為に予定をいれないでおきますね」
「ありがとうございます。ルヴァさま。じゃ僕はこれで」
マルセルは言うことだけ言うと公園を後にした。

次の日執務が終わる時間になると、ルヴァの執務室にマルセルがやってきた。
「さ、ルヴァさま行きましょう」
マルセルはどこに行くかは言わずただルヴァの前を歩き出した。
しばらくすると下界へと続く小道にたどり着いた。
「あの〜マルセル。もしかして下界に降りるのですか?」
「はい。ちゃんと陛下の許可はもらってきましたので大丈夫です」
「それなら良いのですが…」
ルヴァはどこに連れて行かれるのか少し不安に思いながらもマルセルの後ろをついていった。

たどり着いた下界は日が落ちかけているのか少し暗くなっていていた。
「ルヴァさま先に何か食べに行きましょう」
マルセルはそういうと近くにあるレストランに入っていった。
店の中はたくさんの人でにぎわっていて、見回したところ空き席はなさそうだった。ところが
「どうぞ」
と二人はウェイトレスに案内された。
案内されたのは窓際の席で、外の様子が見えた。
あいかわらず外は道の両側に樹が生えているくらいで何の変哲もないように見えた。
「実はこのお店前に来てみたいと思っていたんです。アンジェリークお勧めのお店なんですよ」
しばらくすると料理が運ばれてきた。
「いつの間に頼んでいたのですか?」
「お店の予約をしたときに一緒に。さすがにワインはまずいかと思ってやめました」
ぺろっと舌を出すマルセルにルヴァは何も言うことが出来ず、料理を口に運ぶことにした。
「おいしい」
ルヴァの素直な感想にマルセルはうれしくなり自分も料理を口に運び出した。
二人はしばらく料理を楽しみながら歓談していた。
どれくらいたったのかさっきまで真っ暗だった窓の外がいきなり明るくなった。
「あ。もう時間なんだ。ルヴァさまそろそろ出ましょう」
マルセルはそういうとおろおろするルヴァを置いて出口に向かっていった。

店の外に出て空を見るとすでに日も暮れ暗くなっていた。
しかし、街中はいろいろな色のイルミネーションに飾られとても明るく素敵な雰囲気だった。
「きれいですね〜」
「きれいでしょ。この景色をルヴァさまと一緒に見たかったんです」
思わずルヴァの口から漏れた言葉にマルセルは答えると、
「ルヴァさまこっちです」
とルヴァの手を握ると町外れの丘まで引っ張って行った。

丘から見下ろす町並みは光の中にいた時以上に神秘的なものに見えた。
「私たちサクリアを持つ守護聖が神秘的なものと表現するのもおかしいような気もしますが、他に表現する言葉がありませんね」
「はい。こういう景色を見ていると僕もただの人なんだって感じます。ただサクリアを授かっただけだって」
二人はしばらく言葉なく光り輝く町を見ていた。
「ねぇ、ルヴァさま」
「なんですか?」
「どうして僕たちはサクリアを授かったのでしょう?」
「どうしてでしょうね。私は人と違うことなんて何もしていなかったのですが」
寂しそうなマルセルの横顔を見、
「マルセル。故郷が恋しいですか?」
とルヴァは聞いていた。
「恋しくないと言ったら嘘になると思いますが、今故郷に戻ったところで…」
「そうですね。どうして私たちだったんでしょうかね」
ルヴァはそこで一度言葉を切ると、
「でも。私は守護聖でよかったと思います」
「え?」
「だっていろんな惑星の方と知り合うことが出来ました。普通の人だったらマルセル。貴方とと知り合うことはなかったんですから」
そういうと二人は顔をあわせどちらからともなく唇を重ねた…。

FIN



毎回恒例のシーズンもののお届けです。
私のサイトがなんと9年目に入ってしまい、ルヴァさまのお相手が一回りしました。
悩んだ挙句今回はあみだくじで…。
どこがクリスマス?どこがマル×ルヴァ?という言葉が聞こえてきそうですが、
今回はマル×ルヴァというより二人の甘甘が書きたかったのです。
いや。いつも甘甘しか書いてませんけどね(反省)

先ほども書きましたがお相手が一回りしてます。
次の小説の予定はバレンタインでーです。もちろんホワイトデートリンクしたものを書くつもりにしております。
誰との話にするかが決まりませんので、この人とルヴァさまのバレンタイン〜
というリクエスト募集します。
もちろんこの小説に関する感想もお待ちしています。
bbsまでご連絡いただけるとうれしいです♪



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