St.Valentine's Day



「――ということで、クラヴィスとオリヴィエは明日から暫く聖地を空けることになる。
他の者たちで穴を埋めるように」
 ジュリアスのこの言葉で会議は終了した。
「ルヴァ」
執務室に戻ろうとしていたルヴァは後ろから声をかけられた。
「あークラヴィス。暫く大変でしょうけどがんばってくださいねぇ。
貴方がいない間お茶をご一緒できないのが寂しいですけどね」
 ルヴァの言葉を聴き、クラヴィスは
「ルヴァ」
ともう一度名を呼んだ。
「そんな顔しないでください。今までだって執務で何日も会わない日もあったんですから」
 もの言いたげな顔をしているクラヴィスにルヴァはそう言うと、
「では」と言い、自分の執務室へ戻って行った。
 クラヴィスはルヴァの姿が見えなくなるまでその場に立ち尽くしていた。

「視察でこの星に来てもうすぐ一月か…」
「クラヴィス。な〜にそんなに物思いに耽ってるんだい?」
「――そなたには関係のないこと」
「そりゃ、私には関係ないだろうけどさ、折角なんだから
部屋に篭ってないで町に行くよ」
「部屋にいても執務には差し支えないだろう」
どれだけ言っても重い腰をあげようとしないクラヴィスにオリヴィエは痺れを切らし
「ちょっとルヴァと逢えないからってそんな態度はないんじゃない?」
と言った。
自分のルヴァへの気持ちは誰も知らないと思っていただけにクラヴィスは言葉を発せれなかった。
「気づかないと思ってたの?ルヴァが知っているかどうかは知らないけど、
少なくとも私はずっと前から気づいてたわよ」
オリヴィエはそう言うと、無理やりクラヴィスと立たせると
「さ、町に土産買いに行くわよー」
と引っ張っていった。


無理やり町に連れて行かれたクラヴィスは目の前に山のように積まれているチョコレートに言葉を失った。
「オリヴィエ、これは一体…」
「これって、チョコレートの事?折角この時期に来れたんだからさ、アンタも買って行きなよ」
今にもチョコレートの山に向かって行く様子でオリヴィエは言った。
「いや、だから…」
 なんと言ったらいいのかわからずしどろもどろになるクラヴィスに
「もしかして、バレンタインを知らない?」
とオリヴィエは聞いた。
「バレンタイン?なんだそれは…」
「あっちゃー」
オリヴィエは手を額に当て
「そうよね、クラヴィスが知っていたらそれはそれでどうかと思うよね」
と一人で納得し、
「バレンタインってのはね。好きな人にチョコレートを渡すって行事なの。
まぁ、最近じゃ友達やお世話になっている人に渡したりして好きとは限らないんだけどね。
アンタもルヴァに買って行きなよ」
オリヴィエはそういうとさっさとチョコレートの前に行きいろいろと物色を始めた。
クラヴィスは「好きな人に…か」とつぶやくとチョコレート選びを始めた。
結局いろんなものに目が行きなかなか決まらないクラヴィスにオリヴィエが抹茶チョコレートと
モスグリーンのメッセージカードを選びクラヴィスに渡した。
「ルヴァだったらこの辺りが喜ぶんじゃない?」
クラヴィスはオリヴィエからチョコレートとカードを預かると部屋へ戻った。
部屋に戻ったクラヴィスはメッセージカードにルヴァ宛のメッセージを書くと
中間報告書を取りに来た研究員に書類と一緒にルヴァへのチョコレートを預けた。

研究員は聖地に戻ると王立研究所から出てくるルヴァと鉢合った。
「ルヴァ様」
呼び止められたルヴァは研究員を見ると
「ご苦労様です。クラヴィスとオリヴィエが行っている調査は順調ですか?」
と聞いた。
「はい。今のところ特に問題もなく、このままだとあと一週間ほどでお戻りになるのではないかと思います」
と答えた。
「そうですか。頑張っていますねぇ」
ルヴァはそういうと
「では、あなたも頑張ってくださいね」
と聖殿に向かって歩き出した。研究員はルヴァへの預かりもののことを思い出し
「ルヴァ様」
と再度呼び止めた。
「まだ何か?」
「クラヴィス様からの預かり物です」
研究員は振り向くルヴァに荷物を差し出した。
「私に…ですか?」
「はい。ルヴァ様に渡してくださいとのことでした」
ルヴァは荷物を預かると
「ありがとうございます」
とお礼を言った。
「では」
と研究員が王立研究所に入っていくと、
ルヴァは荷物を見ると首をかしげ聖殿へと向かっていった。
執務室に戻ったルヴァが早速荷物をあけると中から抹茶チョコレートと二つ折りのメッセージカードが出てきた。
カードを開くとそこには一言
「私の気持ちだ」
と書かれていた。
「クラヴィス。これは一体なんですか?」
ルヴァはチョコレートを1つ口に入れると、ここにはいないクラヴィスに問いかけた。



to be continued...   

  あいかわらず中途半端な状態で終わっています。
  ホワイトデーできちんと終わらせたいと思いますので、
  このままで暫くお待ちください。
  感想等web拍手や掲示板でいただけるとうれしいです。
  また打ち間違いなど発見されたかたもご連絡くださいませm(_ _)m



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