Christmas


もうすぐクリスマス。いつまで経っても私の気持ちに気づいてくれないこの方に何をいたしましょうか…。

今日中に仕上げるようにジュリアスに頼まれた書類作成を作成しながら、リュミエールは考えた。

「あの〜リュミエール。私の顔を見ていても書類の作成は進みませんが」
「あっ。すいません。手伝っていただいているのに…」
「いーえ。それは気にしないでくださいね。私もこのデータにはすごく興味がありますからねぇ」
ルヴァはそう言うとにこりと笑った。

この人は誰の前ででもこんな笑顔を見せているのでしょうか。

リュミエールは手を動かしながらルヴァを観察する。
子どものようなキラキラとした瞳でデータを見つめるルヴァ。そんな子どもっぽさの中に大人の色っぽさも感じる。
「はー」
無意識に出たため息を聞いたルヴァは
「一度休憩しますか?」
と声をかけてくれる。

このちょっとした気遣い。誰にでもしているのかと思うと他の方々に嫉妬してしまいます。

「あの〜リュミエール。大丈夫ですか?もし体調が良くないのでしたらジュリアスに頼んで提出期限を延ばしてもらいますよ」
作業の進まないリュミエールを見かねてルヴァは心配そうに声をかけた。
「ありがとうございます。大丈夫ですよ。ルヴァ様にも手伝ってい頂いているのに期限までに提出できないとオスカーに何を言われるかわかりませんから」
そう言うリュミエールに「そうですね」とルヴァは相槌を打った。

書類が出来上がったときには、もう執務の時間はとうに過ぎていた。
「今からじゃジュリアスももういないでしょう。リュミエール。提出は明日にして、今から少し私の執務室へ来ませんか?おいしいお茶が手に入ったんですよ」
リュミエールは特に用があるわけでもないので、ルヴァの執務室へ行く事にした。

ルヴァの執務室でおいしいお茶をいただき、リュミエールは
「あのー。ルヴァ様。24日の夜って空いていますか?」
と聞いてみた。
聞かれたルヴァの表情が一瞬変わった。
それを目ざとく気づいたリュミエールは「どうかしましたか?」と聞いてみた。
しかしルヴァは手を顔の前でパタパタとし、「なんでもないですよ〜」
と答えた。
「24日ですね。はい。大丈夫ですよ」
「では、私のために時間を空けておいてもらえますか?」
「はい。わかりました」
リュミエールは腑に落ちないながらも24日の約束を取り付け、ルヴァの執務室を後にした。

次の日、リュミエールはルヴァを誘ったものの、どうしたら良いのか悩んだ。
リュミエールはそう思いながら、とりあえずディナーのためのお店を探すことにした。
しかし、めぼしい所はすでに予約で一杯。

こういう時、オスカーならどうしたら良いかすぐに思いつくんでしょうね。

リュミエールはそう思いながら、最後のお店に連絡をした。
するとちょうどキャンセルが出たらしく、何とかお店は予約できた。


24日当日。
執務が終わるとリュミエールはルヴァの執務室へと向かった。
「あ。リュミエール。お疲れ様です。今片付けますのでもう少しだけ待ってくださいね」
そう言いながら帰る準備をするルヴァをリュミエールは幸せな気持ちで見つめる。
帰る準備が整ったルヴァが、顔を上げるとリュミエールは視線をそらす。
「お待たせしました」
ルヴァがそういうとリュミエールも椅子から立ち、一緒に聖殿を後にした。
「今からどこへ行くのですか?」
たずねるルヴァにリュミエールは
「少し、散歩をしてから食事にしませんか?」
という。
「そうですね」
そういい二人は並んで公園を歩く、暫く二人でのんびり歩き、店の予約の時間も近づいてきたので、食事に行く事にした。
リュミエールが予約した店はこじんまりとした店で、小さなテーブルの真ん中にはクリスマスを意識したのか、小さなキャンドルが灯っていた。
二人はワインで「メリークリスマス」と乾杯をした。
前菜から出てくる食事も楽しんだ。
最後のデザートが出てくるときには、あまりお酒に強くないルヴァはほろ酔い気分になっていた。
ルヴァはお酒の力を借り、今日のお礼を言う事にした。
「リュミエール。今日はお誘いありがとうございます」
「いえ。こちらこそ、こんな日に私に時間をくれてありがとうございます。まさかルヴァ様と一緒に過ごせると思っていませんでした」
「そうですか…。今だから言いますけどね」
ルヴァはワイングラスの中のワインをゆらしながら
「実は貴方をお茶に誘った時、どうやって貴方の時間をもらおうか考えていたんですよ。だから貴方から声をかけてもらえて、そしてこんな素敵な時間をご一緒できてうれしいんですよ」
「それって…」
食事の手を止めリュミエールはルヴァを見る。
ルヴァは照れているのか酔っているのか顔を紅く染めていた。
「はい。私は貴方のことが好きだったんです」
ルヴァはそう言うと
「ありがとう。リュミエール」
 とお礼の言葉と今までで一番の笑顔をリュミエールにみせた。


       FIN



  すいません。
  ほんとに今年は時間がなかったのと、久しぶりに文章を書いたのとで
  今まで以上になぞな文章になりました。
  ところどころリュミエール視点の文章もいれたので、
  余計にわかりにくくなったかもしれませんが、
  少しでも二人の幸せな気分を味わっていただけたら幸いです。




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