Christmas
「ルヴァ様、失礼します」
元気な声と共に執務室のドアが開けられマルセルが顔を出した。
「こんにちはマルセル。今日も元気なようですね」
ルヴァは執務の手を止め顔を上げると元気なマルセルの顔を見て「うんうん」とうなずいた。
「ところで、今日はどうかしましたか?」
そうたずねるルヴァにマルセルは執務机の前まで歩いてくると、
「これ、お借りしていた本です」
とルヴァの本を返し、
「あと…。これクリスマスパーティのお誘いです。よかったらぜひ来てください」
と赤と緑でつくられたクリスマスカードを差し出した。
ルヴァはさっと中身を確認すると
「はい。必ずお伺いしますね」
と微笑んだ。
「では、お仕事中失礼しました」
マルセルはそういうとルヴァの執務室を出て行った。
クリスマスパーティ当日
ルヴァがパーティー会場になっているマルセルの私邸に着くと、すでにほとんどの守護聖が揃っていた。
「ようこそいらっしゃいました、ルヴァさま。お越しいただいてぼくうれしいです」
玄関まで迎えに出てきたマルセルに挨拶されルヴァは
「今日はお招きありがとうございます。これ差し入れです」
と言い、洋菓子の箱を差し出した。
「本当は和菓子の方が好きなんですけどね、今日みたいな日はこちらの方が良いと思いまして。公園にくる商人さんのお勧めらしいですよ〜」
「ありがとうございます」
マルセルはうれしそうに箱を受け取った。
ルヴァが来て暫くするとリュミエールに急かされてクラヴィスがやってきた。
これで守護聖が全員揃った。
部屋の真ん中に設置された大きなテーブルの上にはマルセルの執事とマルセルで作った料理がたくさん並べられ、飲み物はオスカーやオリヴィエの差し入れ・カティス秘蔵のワインがたくさん振舞われた。
マルセルが一人で食事をしているルヴァに気がつき、声をかけようと歩き始めると、ルヴァに話しかける人が出てくる。
楽しそうに笑っているルヴァを見ているうちに胸が苦しくなり、マルセルはお皿に料理は盛っているものの手をつけることなくランディやゼフェルの話に相槌を打っていた。
ルヴァはそんなマルセルに気がつきつつもどうしようもなくただ時間だけが過ぎていき、パーティーも終わりの時間を迎えた。
「お疲れ様でした」
皆が帰ったのを確認して部屋の片づけをしていたマルセルに声がかけられた。
片づけの手を止め顔をあげたマルセルの前にルヴァが立っていた。
「ルヴァさま帰ったんじゃ…」
「帰ろうと屋敷に向かいかけたんですけどね。なんとなく貴方が一人で片づけをしているのではないかと思って、戻ってきたのです」
ルヴァはそういうとマルセルと一緒に部屋の片づけを始めた。
暫く二人で黙々と片付けていたのだが、ルヴァがふと口を開いた。
「あの〜気を悪くしたらすいません。今日のパーティーつまらなかったのですか?」
「え?」
「いえ。違ったらいいのですが、なんとなく貴方の表情が暗かったので…」
ルヴァはそこで言葉を切り、続きを言うべきか少し悩み、言葉を続けた。
「ありがとう、マルセル。今日のパーティーを企画してくれて。貴方の心配りが本当にうれしいんです。でも今日はそんな貴方の性格が少し憎いんですよ」
「え?」
「だってパーティーをしなかったら貴方と二人で過ごせたかもしれないでしょ」
「ルヴァさま〜」
マルセルはルヴァにしがみつき泣き出した。そんなマルセルの気持ちを落ち着かせるべくルヴァは優しくマルセルを抱きしめた。
「ぼくも、ぼくも本当は二人で過ごしたかったんです。でもはずかしくて二人でなんてお誘いできなかった…」
「いいんですよ〜。今はこうして二人なんですからね。泣き止んで貴方の笑顔を見せてください」
そう言われマルセルはルヴァから少し離れるとにっこり笑いかけた。
その笑顔を見、ルヴァもにっこりと微笑んだ。
「メリークリスマス。ルヴァさま」
そう言ってマルセルはルヴァに口付けをした。
FIN
毎年恒例のクリスマス小説です。
久々にマルセル君とルヴァ様の話にしたのですが、
早くからネタを考えていたくせに書きあがったのはギリギリで…。
今まで以上に短く中身のない話になってしまいました。
あまりにもギリギリ過ぎて標準語に直してもらう時間がありませんでした。
おかしなところが多々あると思いますがご了承ください。
感想等web拍手やBBSで頂けるとうれしいです。
BACK