Birthday


「おや?これはなんでしょうか」
エルンストのところへ惑星の育成情報を聞きに行った帰り、ルヴァは執務室のドアの下に手紙が挟まっているのを見つけた。
ルヴァはその手紙を拾うと、宛名を見た。宛名はルヴァ宛。しかし差出人の名前がない。
ルヴァは不思議そうに首を傾げると執務室に入り、便箋を取り出した。
便箋には【明日15時。公園内カフェテラスに来てください】とだけ書いてあった。

次の日、どうしようかと悩みつつ、ルヴァは14時半ごろ、公園に行ってみた。いつもなら公園入ってすぐのところで屋台を広げているチャーリーの姿が見えない。ルヴァは首をかしげつつ、カフェテラスを覗いてみた。しかしカフェテラスはドアに〔本日貸切〕という札が出ているだけで何もわからない。
仕方なくルヴァは自分の執務室に戻り仕事をすることにした。
「ふ〜一息つきましょうかねぇ」
ルヴァは時計の針が15時を刺しているのを確認し、お茶を入れるために席を立った。
その時かすかなノックの音。ルヴァはドアの方へ向かって行った。
ドアを開けてみたものの、ドアの前には誰も居ず、左右を見渡したものの人の姿は見えなかった。
ルヴァは首を傾げるとドアを閉めようとした。その時、床に一枚の紙があるのが目に入った。
「――また。ですか」
ルヴァはそうつぶやくと紙を拾い、きれいに折られたものを開いてみた。そこにはただ一文【カフェテラスへ来てください】と書かれてあった。
ルヴァはどうしたものか暫く考え、公園に足を運んだ。
公園は、先ほど訪れた時と特に変わったことは無く、やはりいつも居るチャーリーは居なかった。ルヴァは公園内を一周するとカフェテラスに足を運んだ。カフェテラスも先ほどと同様〔本日貸切〕と札が掛かっていた。先ほどと違うのは電気の点いていないカフェテラスの中に人の気配がするということ。
「すいません」
ルヴァは小声でそう言うとドアを開けてみた。と同時にどこからともなく『パンパンパン』というクラッカーの音。そして『ハッピーバースデー』という声がし、電気が点けられた。
そこにはヴィクトールを始め、セイラン・ティムカという教官たち。そしてエルンスト・メル・チャーリーという顔が並んでいた。
「あ、あのー。これは一体?」
何が起こったのかわかっていないルヴァは口を開いた。
「一体って。ルヴァ様今日が何の日かわかってないんでっか?」
呆れ顔のチャーリーに向かい、首肯するルヴァに
「今日はルヴァ様の誕生日だと伺いましたが、僕の聞き違いだったのでしょうか?」
とティムカが言葉を続ける。
そう言われルヴァはようやく今日が自分の誕生日である事に気がついた。
「呆れた。自分の誕生日を忘れる人がいるだなんてね」
そういうセイランに、
「そんな言い方ルヴァ様に失礼だよ」
とメルが抗議する。
「でも普通は忘れないと思うのだけど」
と反論するセイラン。そんな2人を
「折角今日は楽しい日なんですから、言い合いはその辺で」
とエルンストが2人に言うと、カフェテラスの厨房に向かい
「すいません。頼んでいたものをお願い致します」
と声をかけた。
「折角ですので、今日は皆で、ルヴァ様の誕生日を祝いつつ、お茶を飲もうと思って集まったんです」
エルンストの言葉に
「そうだよ。今日はね、皆でティパーティーっ!」
とメルも大喜び。
「あ、あの。ありがとうございます。何か自分でも忘れていた日を人に祝ってもらえるってのはなんだかうれしいです」
ルヴァはそう言うと空いている席に腰を下ろすと少し照れたように俯いた。
「今日の主役はルヴァ様なんですから、もっと胸をはってください」
ヴィクトールに言われ、顔を上げたところでウエイトレスが「どうぞ」とお茶とお団子を目の前に置いてくれた。
ティーカップからはかすかに柑橘系の香りがしてくる。
「紅茶にお団子ですか?」
不思議そうな顔をするルヴァに
「このお茶はフレーバーティーのユズでして。お茶うけにはシフォンケーキやショートケーキはもちろんのこと。お団子にもよーあうんです。だまされたと思ってためしてみてください」
とチャーリーがすすめる。
「ユズ。ですか」
ルヴァはカップに口をつけ、一口飲んでみた。確かに柑橘類らしいさっぱりとしたのどごし。次にお団子を口に入れてみる。
「あっ。おいしい」
「俺の言ったとおりでしょ。気に入って頂けました?紅茶葉はありますさかいにまた後でお持ちいたします」
その後はしばらくみんなで楽しく談話しながらのティータイム。
日が傾いてきたころ、「そろそろ閉店になります」というウエイトレスの言葉に、
「今日は本当にありがとうございます。皆さんのおかげでとっても素敵な誕生日が送れました。これからも一緒に頑張っていきましょうね」
ルヴァは微笑みながらそう言った。


FIN


   今年もなんとかアップしました。毎年書いている気がしますが、今年ばかりは
   本当に落とすかと思った・・・。
   前回がリモージュとの話だったので、今年はどうしようかと思い、友達からのリクエスト
   もかね、パーティーネタにしました。
   でも前回守護聖では書いているしー。と思い。今回はスペシャル2のサブキャラで。
   で、ここで一つお断りを。実は私SP2は途中で挫折しております。
   友達からサターンのソフトとデータを借りて、ターバンをはずすルヴァ様は見ております
   が、自力では全くと言っていいほどプレイしておりません。
   彼らはレクイエムからの付き合いなんです。
   そのため、皆さん偽者ッぷり大発揮。各キャラのファンの方にはここで謝っておきます。
   すいませんm(_ _)m
   BBSやメールで感想などいただけると大変うれしく、そして次への励みになります。
   どうぞよろしくお願い致します。



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