Christmas



「は〜いルヴァ。おまたせ〜」
そう言いながらルヴァの執務室に入って来たのはカティス秘蔵のワインを手にしたオリヴィエだった。
「あー。オリヴィエ。お待ちしていましたよ。食事の用意は出来ているので、食事にいたしましょう」
ルヴァはオリヴィエをリビングにとおし、持って来たワインをワイングラスに注ぎ食事を始めた。

「ところでオリヴィエ。今日はクリスマスですよ。こんな所で私なんかと食事していていいのですか?」
それを聞き、オリヴィエは一つため息を漏らした。
実は今日の食事の計画は全てオリヴィエが立てた。
すっとルヴァの事を思っているにもかかわらず、いつまでたっても気がつかないルヴァに痺れを切らして、今回の食事を計画したのである。
「本当にルヴァはわかってないね」
オリヴィエはナイフをフォークを置くとテーブルに肘をつき、ルヴァの顔を見つめた。
暫くは食事に没頭していたルヴァもオリヴィエの視線に気がつき、同じようにナイフとフォークを置いた。
「どうしたのですか?オリヴィエ」
「アンタって本当にかわいいなーと思って」
「・・・何言ってるのですかあなたは・・・」はずかしい」
頬を染めて下を向くルヴァを見てオリヴィエはクスッっと笑うと
「その顔がいいのよ」
「もうオリヴィエったら」
そう言うとルヴァは食事を再開した。
暫くそんなルヴァを見、オリヴィエも食事を再開した。
「あ〜おいしかった。カティス所蔵のワインもおいしいし、ルヴァお手製の料理もおいしかったし。もう満足v」
オリヴィエは本当に幸せそうな顔でルヴァを見つめた。
「よかったです。料理は貴方の口に合うかすごく心配だったんですよ」
ルヴァは嬉しそうに食器を片付け始めた。
「あっ。私も手伝うわ」
そう言い立ち上がろうとするオリヴィエに
「いいですよ。今日は貴方はお客さんなんですから。ゆっくりしておいてください」
そういい、紅茶を運んできた。
出されたカップからはとてもトロピカルな香りがしてきた。
「ねぇ、ルヴァこのお茶なに?」
「トロピカルティです。貴方が気に入ってくれるのではないかと思ったのですが、お口に合いませんか?」
「ううん。すっごくおいしい」
お茶を飲みながら食器を洗うルヴァの後姿を見、オリヴィエは幸せを感じた。
食器の片付けが終わったのかルヴァは湯飲みを片手にオリヴィエの前に座った。
「アンタって本当にお茶が好きだよね」
おいしそうにお茶をすするルヴァにオリヴィエは言った。
「ええ。年寄りなんでしょうね。これがあるとすごく落ち着くんですよ」
お茶を飲みながら微笑むルヴァを見て、オリヴィエの顔も自然と微笑んできた。

のんびり食後の余韻にひたっていた時、
「あっ!」
とルヴァが声を出した。
「どうしたのルヴァ」
「忘れていました。ケーキ焼いたんですよ。食べませんか?」
「ルヴァの手作り?」
「ええ、久しぶりに作ったので、自信はないのですが…」
「もちろん食べる。窓際で食べよう。私がテーブル運んでおくからさ。持ってきてよ」
「ええ、わかりました」
ルヴァはそう言うと立ち上がり台所に行った。

「お待たせしました」
そう言い持って来たお盆の上にはケーキ皿が二つとワイングラス。それとワインが一本。
「ケーキにはどれがいいか悩んだのですが、クリスマスだしシャンパンにしました」
なかなか戻ってこないと思ったらワインセラーまで行っていたようである。
ケーキ皿の上にはフルーツケーキが一切れと。ケーキの周りに果物がたくさんのっていた。
ポンッ
ワインのコルクの空く音がした後、ワイングラスにシャンパンが継がれていく。
二人はワイングラスを持ち上げると、カチンと乾杯し
「メリークリスマス」
と言った。
「このケーキおいしい。そんなに甘くなく、だからって味がないわけじゃなく。スポンジもぱさぱさしていないし。文句ないよ」
オリヴィエの口から「おいしい」と言う言葉を聞き、うれしそうにルヴァもケーキを口にした。
「ねぇルヴァ」
「何ですか?オリヴィエ」
「ルヴァっていくつまでサンタを信じていた?」
シャンパンでほどよくお酒の回ったオリヴィエがルヴァに聞いた。
「え?サンタクロースですか?そうですねぇ」
ルヴァは暫く考え
「覚えていませんね」
と笑った。
「そういうオリヴィエはいつまで信じていたのですか?」
「そうねぇ。私もしっかり覚えていないけども今は素敵なサンタを見つけたわ」
「サンタを見つけたのですか?」
目を見開きびっくりした表情でルヴァはオリヴィエを見入った。
「うん。とっても素敵なプレゼントを持ったサンタクロースを見つけたの」
「素敵なプレゼントを持ったサンタクロース?」
ルヴァは本当に何のことだかわからないようで首を傾げる。
「もう本当にルヴァったら鈍感なんだから。私のサンタクロースはルヴァ。アンタの事よ」
「え?何もプレゼント持っていませんよ」
「何言ってるの。私にこんな素敵な時間をくれたじゃない」
「え?私なんかといて楽しかったのですか?」
ここまで来たら本当に感心するわ。オリヴィエはまたため息をつき、
「私もいいものあげるから立ち上がって目をつぶって手を出して」
オリヴィエがそう言うとルヴァはその場で立ち上がり言われた通り目をつぶり両手を体の前に出した。
オリヴィエはルヴァのあごに手をかけ、少し上を向かせた。ルヴァは流石にビックリしたのか目を開けた。
その瞬間ルヴァの唇はオリヴィエにふさがれていた。
どれぐらいそのままでいたのかオリヴィエの唇が離れた時にはルヴァは放心状態だった。
「ちょっと。ルヴァ大丈夫?」
流石に心配になったのかオリヴィエが声をかけた。
「ええ大丈夫」
そういいオリヴィエの顔を見たルヴァは顔を真っ赤にし、そのまままた俯いてしまった。
オリヴィエはクリスマスカードをテーブルの上に置くと。
「ルヴァそのままでいいから一つだけ教えて。私とのキスはいやだった?」
そう聞かれ、ルヴァは首を横に振った。
「そう。ならよかった。じゃ、そろそろ私は戻るわ」
ルヴァはそう言い立ち去ろうとしたオリヴィエの服をとっさに掴んでしまった。
オリヴィエはビックリして振り返った。
「あ、あの。お、オリヴィエ。今日は、その――貴方と過ごせて本当によかったです」
ルヴァはそれだけ言うと。オリヴィエの服から手を離した。
「ルヴァ…。ありがとう」
オリヴィエはそう言いルヴァに口付けした。




Fin




        まずこんなものを読んでくださってありがとうございます。
        そして貴重な時間を取らしてしまいまして申し訳ありませんでした。

        今回時間ギリギリ無理やりに近い状態でかいたため、今まで以上になんだこれ?
        と言う状態になってしまいました。
        ダメですね。公私共にイベント等が重なるとネタ詰めてる時間がない…。
        最初今年のクリスマスはお子様三人組がパーティーを企画する
        というほのぼの系になる予定だったのですが、
        気がつけばオリヴィエ様とルヴァさまの二人のクリスマスになってしまいました。
        ちなみに今回はいきなりパソコンへの打ち込みという今までやった事のない、
        事をやったため、今まで以上に推敲が出来ておりません。
        苦情は掲示板かメールで随時受け付けております。




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