Rain pattern

「ようやく仕上がりました。ちょっと疲れましたねぇ」
ルヴァはそう言うと大きく伸びをした。
今回の書類作成は資料が少なかったため思ったよりも時間がかかってしまった。
「これを提出がてら、久しぶりに公園でのんびり読書でもしましょうかね」
ルヴァはそう言うと書類と本を手にジュリアスの執務室へと向かった。
「ジュリアス、失礼しますね」
ルヴァは軽くドアをノックするとジュリアスの執務室へ入った。
ジュリアスはいつものように執務机で仕事をしており、ルヴァが入ってきたことにも気がついていないようだった。
ルヴァは応接セットのテーブルに書類と本を置き、執務室に備え付けてある台所へと向かうと勝手知ったるなんとやらでコーヒー豆を取り出し、エスプレッソを入れはじめた。
暫くすると執務室にコーヒーのいい香りが漂いだす。
その頃になりようやくジュリアスはおかしいことに気づき台所へ向かった。
「ルヴァ。そなたいつの間に」
「あぁ、ジュリアス。ようやく気がつきましたねぇ。書類を持ってきたものの、声をかけられる雰囲気じゃなくて、どうしようかと思いました」
ルヴァはそう言うと丁度いれきったエスプレッソをカップにあけ、
「一服してはどうですか?」
とジュリアスに手渡した。
「そ、そうだな。そなたが来てくれたというのに気がつかないとは、かなり疲れているようだな」
ジュリアスはエスプレッソのお返しに冷蔵庫に入れておいたグリーンティーをグラスに入れ、ルヴァに手渡した。
「そなたも一緒に一服してはどうだ?」
「ありがとうジュリアス。お言葉に甘えていただきますね」
ルヴァは嬉しそうにグリーンティーを持つとジュリアスの後ろについてソファーへ向かった。

「ジュリアス。頼まれていた書類です。資料が少なくて時間がかかってしまいましたが、これでいいですかねぇ」
ジュリアスはカップをソーサーの上に置くとルヴァから書類を受け取った。
その書類に一通り目を通すと、
「さすがだな。あれだけの資料からここまできちんとまとめてくれるとは、この書類は預かっておこう」
そういうと執務机に書類を持っていった。
ではそろそろお暇しようかと、ルヴァはソファーから立ち上がった。
「ルヴァ。これからの予定はどうなっているのだ?」
「そうですね。しばらくゆっくり本を読めなかったので今日はこのまま公園ででも本を読もうかと…」
「そうか。また時間が空いたら顔でも見せに来てくれるとうれしいのだが」
少し照れたように言うジュリアスにルヴァはにこりと微笑み「喜んで」と答えた。

ジュリアスの執務室を出たルヴァは予定通り読書をするため公園内をうろうろしていた。
「この辺りでいいすかねぇー」
ルヴァはそう言うと、いつもカップルに占領されている公園入ってすぐのところのベンチに座り、本を読み出した。
どれくらい本を読んでいたのか、ルヴァの頭に水滴があたった。
「・・・雨。ですか?」
ルヴァが空を見上げてつぶやくと、その言葉を待っていたかのように大粒の雨が空から落ちてきた。
ルヴァは急いで本にしおりを挟むと、濡れないように本をかばいながら奥のカフェテリアに走った。
カフェテリアに着いたルヴァはすでに濡れねずみのようになっていた。
「困りました」
折角かばいながら運んできた本もかなり濡れている。
本が無事なら雨がやむまで読書をしていればいいのだが、読める状態じゃない。
フー。ルヴァは一つため息とつくと椅子に座り、雨がやむのを待つことにした。
ふと公園の中を見てみると傘を差し、走りながら公園に入ってきた人影に気がついた。
ルヴァはいすが倒れるのも気にせず勢いよく立ち上がった。
ガタンと倒れるいすの音に気が付いた人影はカフェテリアに向かって一直線に走ってきた。
「ルヴァ!」
カフェテリアに入ってきたのはジュリアスだった。
「やはり貴方だったのですね。どうしたのですかこの雨の中」
「どうしたもこうしたも、突然の雨にそなたが困ってるのではないかと思い、迎えに来たのだ」
ジュリアスはそう言うとルヴァの全身を眺め
「びしょ濡れではないか」
と言った。
クシュン
ルヴァはくしゃみで返事をすると
「しかし、貴方もあわてん坊ですね」
と言った。ジュリアスは何のことだかわからず首を傾げた。
「だって迎えに来てくれたのはうれしいのですが、傘が一つしかないですよ」
ルヴァに言われ始めてルヴァの分の傘を持ってこなかったことに気が付いたジュリアスは
「そ、それは・・・。ならこの傘をそなたが使えばいい。私はそのまま歩くとしよう」
そう言い、ルヴァの手に傘を握らすと雨の中を出て行った。
そんなジュリアスの後ろからルヴァはそっと傘を差し出した。
「二人で入っていけばいいんですよ」
振り向くジュリアスにルヴァはにこりと笑いかけ、そっと腕を組み聖殿へと帰っていった。


Fin



                   またしてもおまたせしすぎたキリリクです。
                   今回のリクはジュリアス様と雨。
                   めずらしく書きかけ途中で何かが違うと思い
                   書き直すという出来事も・・・。
                   正直言ってジュリアス様が相手とリクを頂き、
                   ムリだろうと思っていました。
                   だってジュリアス様が恋愛をするんですよ。
                   しかもジュリアス×ルヴァにはトラウマがあったりで・・・
                   でもなんとかストーリになりました(?)
                   キリ番ゲッターのねずねず様。
                   こんなものになってしまいました。すいません(汗)


BACK          TOP