cold


「――で、あるからしてロザリアの惑星には炎のサクリア。アンジェリークの惑星には地のサクリアが不足していると思われる。ここまでで、何か質問はあるか?」
ジュリアスは一同の顔を見回した。
今日は月に一度の守護聖会議。パスハからの報告により各惑星の育成情報が伝えられた。
「お言葉ですがジュリアス様」
オスカーは席を立つと言葉を続けた。
「最近ロザリアが顔を見せないのですが勝手に育成をしても大丈夫なのでしょうか?」
「過剰にサクリアを送るとよくないとは思うが、不足しているものを補う分には問題ないと聞いている」
「そうですか。わかりました」
オスカーが席に座るのを確認すると
「この件について他、何か質問はあるか?」
ジュリアスはそう言うとみんなの顔をみまわした。誰もが異を唱えないのを確認すると
「では次の議案に移る。ルヴァ頼む」
とジュリアスから一番離れた席に座るルヴァは
「えっと。私の方から・・・」
と議案を言うべく立ち上がった。そのとき立ち眩みを起こしたのかルヴァは倒れてしまった。
「ルヴァ!!おいルヴァ!」
ルヴァの隣に座っていたゼフェルは体を揺らしつつ声をかけた。
「ゼフェル体を動かしてはいけません」
ルヴァの元へ行ったリュミエールが声をかける。
「んなこと言ったってよ。起こさなきゃダメだろっ!」
「頭を打っていたらどうするのですか」
そう言うとリュミエールはルヴァの額に手を当てた。
「すごい熱。私が館まで運びます。ジュリアス様申し訳ありませんが失礼します」
そう言うリュミエールを見、ジュリアスは頼んだぞというように頷くと
「今日の会議はここまでにする。各自執務に戻るように」
と宣言した。
「こんな状態で執務に戻れっていうのかよ」
「ゼフェル。ジュリアス様の言うとおりだ。今日はリュミエール様に任せて執務に戻ろう」
ジュリアスに食って掛かるゼフェルにランディは言った。
「けっ、やってらんねーぜ。俺はふけさせてもらうゼ」
ゼフェルはそう言うと部屋から出て行った。

リュミエールはルヴァをそっと抱きかかえると地の館へ向かった。
地の館から出てきた執事に簡単に状況を説明し、ルヴァの寝室へと案内してもらった。
「氷水とタオル。それから飲料水を持ってきてください」
執事にお願いすると、ルヴァをベットに横たえた。
暫くすると執事が言われたものを手に寝室へ戻ってきた。
リュミエールはそれを受け取ると
「あとは私が見ますので、下がってもらって結構ですよ」
と言った。
執事が寝室を出て行ったのを確認すると、衣類を少し緩め、水差しをルヴァの口元へ持っていく。
しかしうまいこと飲むことが出来ないらしく、口の端からこぼれてくる。
リュミエールは水を口に含むとそのまま口移しで飲ませてみた。
コクッ
ルヴァののどが動き水を飲んだ。すると少し楽になったのか荒かった呼吸が落ちついてきた。
氷水に浸したタオルで額に浮かぶ汗を拭くとルヴァのまぶたがピクリと動きゆっくりと目をあけた。
暫く焦点の合わない瞳を動かすと
「リ、リュミエール」
と声を出した。
「ルヴァ様気がつかれました。心配いたしました」
リュミエールはルヴァの瞳を覗き込むと安心したのか横たわるルヴァの体の上に頭をおいた。
ルヴァはリュミエールの髪の毛を撫でると
「心配かけたみたいですね。すいません。最近忙しくて・・・」
「忙しくなると周りが見えなくなるルヴァ様のことはわかっております」
そこまで言うとリュミエールは頭を上げた。
「でもどうしてこんなに熱が出るまでほっておいたのですか」
「すいません。ちょっと体がだるいなーと思っていただけでしたので」
起き上がろうとするルヴァを制し、
「今日はもうお休みになってください。また明日様子を伺いに参りますので」
そう言い、リュミエールは地の館を後にした。

ルヴァのことが心配で仕方のないリュミエールは執務が終わると地の館に向かう日が続いた。
「ねぇ、リュミちゃん。ルヴァの様子どうなの?」
執務室に向かっていたリュミエールは前から歩いてきたオリヴィエと会った。
「それがなかなか熱が下がらなくて。医者に聞くとただの風邪だって言うんですけどね。風邪でこんなに長引くものでしょうか?」
「風邪が長引くかどうかは知らないけどね。風邪なら人に移すと治りが早いって聞いたことがあるよ」
「本当ですか!」
「ホントかウソかは知らないけど、ただそんなうわさを耳にしたことがあっただけ」
オリヴィエはそう言うと「じゃーねー」と手を振り自分の執務室に入って行った。
リュミエールは大急ぎで仕事を済ますと地の館に向かった。
いつもより早く地の館に着いたリュミエールは預かっている鍵でドアを開け寝室へ向かった。
ドアをそっと開けるとルヴァは眠っていた。
リュミエールは手っ取り早く風邪を移してもらうためにルヴァに口付けをする。
びっくりしたのかルヴァは目を覚ました。
「リ、リュミエールやめてください。風邪が移ってしまいます」
「いいんです。風邪を移してほしいのですから」
リュミエールはルヴァの瞳を見つめて言った。
「これ以上つらそうなルヴァ様を見ているのは嫌です。それならいっそ私に移してください」
リュミエールは言葉を続けると再度ルヴァの唇をふさいだ


「おいルヴァ。もう大丈夫なのか」
執務室に入ろうとしたルヴァは声をかけられた。
「おや、ゼフェルにマルセルじゃないですか。ご心配をかけましたね。おかげさまですっかりよくなりましたよ」
「それはよかったです。でもルヴァ様が執務に戻られたというのに今度はリュミエール様が体調不良なんですね」
「え、ええ、そのようですね」
自分が原因だとも言えずルヴァは答える。
「まさかルヴァが移したなんてことないよな」
「な、何を言ってるんですか」
しどろもどろになるルヴァを見、ゼフェルとマルセルは
「リュミエール様に早くよくなってくださいって伝えてください」
「いつまでもおめーのしけた面見たくないからな」
とそれぞれ言うと二人は立ち去った。

 
FIN





   だいぶんお待たせしていたキリリクです。
    リクエストはリュミ×ルヴァ裏つき。
    ということでしたが、とりあえず書きあがった表だけ先にアップしました。
    初の裏はいつになるかわかりませんがアップする予定になっていますので、
    しばしお待ちください。
   (7/9付けで裏アップ。本文中から飛べるようになっています)

    リクエストをくださったリュー様。
    こんなものしか出来上がりませんでしたが、リクエストありがとうございました。

  


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